本文より抜粋
2月13日
車に乗りこみ、八郎潟へと入っていく。どこまで行っても平らな土地だ。100mに1軒位
の間隔で家が建ってい
る。ちょうど真ん中辺りに位置する所に車を停めた。アスファルトの道路に直角に交差して、雪の農道が遠くに霞む山までまっすぐ続いている。車を降り、その道を歩いた。かなり歩いて振り返ると、俺達の車がポツンと点のように見える。
深呼吸をした。圧倒的な白の世界だ。風が止み、周りがシンと静まり返った。シンという言葉さえうるさいぐらいの無音の世界。都会ではどんな真夜中でも音がなくなることはない。
体中の感覚が敏感になってくる。頭で考える前に、皮膚が何かを感じとっているのがわかる。毛穴から何かが入りこんでくる。色々な物がはっきり見えるような気がする。
|